法律用語としての「及び」・「並びに」
「及び」・「並びに」は、いずれも2つ以上の文言を併合的に接続するための接続詞ですが、法律用語としては、これらの用語は、厳密に使い分けられています。
以下では、類型毎にこれらの用語の用法を解説します。
2つ以上の事柄を単層的に接続する場合:
A, B and C(1)
併合的に並列される事柄が、お互いに単層的かつ並列的な関係に立つ場合には、「及び」を使用します。
並列する事柄が2つである場合には、「A及びB」のように使用します。並列する事柄が3つ以上である場合には、「A、B、C、D及びE」のように、一番最後の事柄とその直前の事柄とを「及び」で接続し、それ以外の事柄間は「、」(読点)で接続します。
2つ以上の事柄を接続する場合で、その事柄の中に、別個に併合的に接続される2つ以上の事柄が含まれるとき:
X(…a, b and c…), Y(…l and m…) and Z(…r and s…)(2)
併合的に接続される事柄の中に、別個に併合的に接続される事柄が含まれるような場合、いわば併合的接続が2層構造となっている場合には、含まれる側の接続(以下、「小さい接続」といいます。)に「及び」を使用し、含む側の接続に「並びに」を使用します。
例えば、「X(…a、b及びc…)、Y(…l及びm…)並びにZ(…r及びs…)」のように記載されます。
併合的接続が3層構造以上に重なって使用される場合:
X{…A(…a1 and a2…) and B(…b1 and b2…)…},
Y(…L and M…) and Z(3)
併合的に接続される事柄が、3層構造以上に重なっている場合には、最も小さい接続、すなわち、その中に他の併合的接続を含まない接続についてのみ「及び」を使用し、残りの接続のすべてで「並びに」を使用します。
上記の例では、「X{…A(…a1及びa2…)並びにB(…b1及びb2…)…}、Y(…L及びM…)並びにZ」のように記載されます。
「かつ」の用法
「かつ(且つ)」という用語も、併合的な接続のために使用されますが、「及び」・「並びに」のような厳密な使い分けはありません。
接続される文言が密接不可分であるような場合に使用されることが多いようですが、併合的な接続が多層的になる場合には、構造を明確にするためにも「及び」・「並びに」を使用するとよいでしょう。