契約書のタイトルは、そこに規定された合意の解釈に影響を与えるか
いかなる内容の契約が締結されたかについて争いが生じた場合に、その判断に影響を与えるのは契約書のタイトルではなく、あくまで当該契約書で規定された具体的な合意の内容です(2)。
したがって、この観点から契約書のタイトルのつけ方について過度に神経質になる必要はなく、その意味では契約書のタイトルのつけ方には厳密な決まりはありません(3)。
契約書のタイトルの役割
しかし、契約書のタイトルを適切につけることにより、いくつかの良い効果が期待できます。以下では、契約書のタイトルが一般に持つ役割を概説します。
契約書のタイトルが有する主要な役割は、大きく分けて二つあると考えられます。
契約の特定機能
第一に、契約書のタイトルによって契約が特定されるという役割があります。契約は、一般に?契約当事者、?契約締結日、及び?契約書のタイトル、という三要素によって特定されます。したがって、例えば、同一日に同一の当事者間で複数の契約が締結される場合には、契約書のタイトルがそれぞれ異なることで、それらの複数の契約を簡単に区別して言及することが可能となります。
契約の合意内容の表示機能
第二に、契約書のタイトルを見るだけで、その契約書においてどのような合意がなされているかが明確になるという役割があります。
例えば、単に「契約書」というタイトルをつけた場合には、第三者がその契約書のタイトルを見ただけでは、どのような合意がなされた契約書であるかを知ることができません。また、契約の当事者であっても、契約を締結してから時間が経過している場合には、「契約書」というタイトルだけでは、その中でどのような合意をしたのかを思い出せないこともあります。
一方で、契約書のタイトルが、そこで合意されている内容を端的かつ具体的に表示している場合には、タイトルを見るだけで、契約の大まかな内容を知ることができるようになります。
まとめ
以上から、契約書のタイトルは、その契約の内容を具体的かつ端的に表示するようなものが望ましいといえます。