「直ちに」・「速やかに」・「遅滞なく」の意義
いずれの用語も、ある基準となる時点から次の行為等がなされるまでの時間的な近接の度合いを表す副詞です。
これらの用語が契約文言として規定された場合には、一般に、「直ちに」が最も即時性の強い用語、「速やかに」はその次に即時性が強い用語、「遅滞なく」は3つの用語の中では最も即時性の弱い用語として解釈されます。
規範的な用語
「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」のいずれも規範的で解釈の幅の生じうる用語であるため、これらの用語のみを使用して契約当事者の一定の作為義務等のタイミングを合意したような場合には、当該作為義務がいつまでになされなければ履行遅滞となるかの解釈に関して、争いとなる可能性があることに留意する必要があります。
したがって、一定の時点までに債務の履行が行われることを義務付けるためには、具体的な日時又は期間を規定することにより、履行の期限を明確化して解釈に関する紛争を回避することが望ましいでしょう。
「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」の即時性の解釈に関する裁判例
なお、「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」をどう使い分けるのかについては、大阪高等裁判所判決昭和37年12月10日が同様の解釈を示しています。