即時性に関する法律用語
契約書では、「直ちに」「速やかに」「遅滞なく」といった即時性に関する用語が使用されることがありますが、これらは意識的に区別して用いなければなりません。
では、契約書作成の実務上これらの用語がどのように使い分けられているかですが、大阪高等裁判所判決昭和37年12月10日が、これらの用語の区別について以下のとおり参考になる解釈を提示しています。
…「すみやかに」は、「直ちに」「遅滞なく」という用語とともに時間的即時性を表わすものとして用いられるが、これらは区別して用いられており、その即時性は、最も強いものが「直ちに」であり、ついで「すみやかに」、さらに「遅滞なく」の順に弱まつており、「遅滞なく」は正当な又は合理的な理由による遅滞は許容されるものと解されている。
(強調は筆者による。)
法令用語と契約用語
つまり、上記判決は、最も即時性が強いのが「直ちに」、次に強いのが「速やかに」、一番弱いのが「遅滞なく」であることを示したわけです。
上記判決は、これらの用語が法令用語として慣用される上での一般的な解釈について判断したものですが、契約書で使用される用語としても、基本的に同様の解釈が可能といえます。
したがって、契約書でこれらの用語を使用する場合には、上記判決の解釈に沿った使い分けをすればよいでしょう。